魔法の恋の行方・魔女の告白(シリーズ4・バージルとレティシア)
<大学構内・15時30分>

バージルが退職の手続きをして、
帰ろうとする時だった。
「バージル君」

バージルの後ろから声がかかった。
振り向くと、
恩師のグラント教授が立っていた。
「体はどうかね。
マリエが心配していたが」

「ご心配をかけて申し訳ありません。
それに急に辞めることになって・・ご迷惑をおかけしました。」

バージルは頭を下げた。
「いやいや、大丈夫だよ。
すぐに君の代わりの先生が、
入ってくれてね」

グラント教授は講堂の方を見た。
「実はその先生も
今日で終わりなんだ。
とりあえず中継ぎだったが、
すぐに後任も決まった。

君もまだ、研究を続ける気持ちなら、会っておくといいだろう。
宗教学が専門のシスターでね」

「シスター・・・教会の方ですか?」
バージルは意外そうな顔をした。

「ああ、まだ若い人だが、
相当な勉強家で、私も驚いたよ」

グラント教授は苦笑して
「なかなか美人さんのシスターでね。
講堂での授業は、男子学生の受講者が増えてしまって・・
急遽(きゅうきょ)場所を広い所に変える事になった。

困ったものだ。
神に仕える人に、よこしまな感情を持ってはいけないのだが」

その時、
何かがバージルの心に、引っ掛かりを感じさせた。
「午後の授業はもう終わるでしょうから、
私も挨拶をしておきます」

バージルはそう言うと、すぐに講堂に向かった。

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