碧天の下で、純白の球、夏に泣く。




「よっしゃ、抑えた!!」

「斗蒼先輩、頑張ってください!!」




8回‥表。

一旦の雨の中断から、
お互い、こう着状態が続いている。



「っはぁっ、斗蒼。」

「なんだ?」



保田もずいぶん息が上がってきている。

ユニフォームは雨と汗と泥で塗れて、
動きづらいし、正直気持ち悪い。


「次のバッター‥、」

さっき、盗塁を阻止したときに飛び跳ねた泥が、
保田の顔についていた。



当たり前だけど、真剣さが伝わってくる。




「タイミングあってきてるから‥、気をつけろ。」

「‥確かに、そうだな。ありがとな。」




もの凄く、疲れた。



雨はより一層の集中力を必要とするから、
俺にとっては晴れよりもキツい。





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