碧天の下で、純白の球、夏に泣く。
side 斗蒼
9回に入った。
俺たちは追加点を入れることができず、
今も3対1のまま。
「この1回、抑えてくれれば‥。」
「‥あぁ。」
抑えは2年のピッチャー、錦城(きんじょう)。
2回戦目で、
いつも抑えをしていた3年のピッチャーが
肘を痛めたので、急遽ベンチ入りをしたのだ。
「ん?錦城、マウンド上がらなくていいのか?」
もうそろそろ
マウンドに上がっておかなければいけない
時間なのに、ベンチに錦城がまだいる。
「日向先輩‥。」
「!?」
振り返った錦城は、今にも泣きそうだった。