彼と彼女の取り違えられた人生と結婚
「この先の俺の人生に、樹里さんが必要です。ずっと傍にいて下さい。俺が、お爺ちゃんになっても
一緒にいて下さい」
嬉しい…。
樹里は素直にそう思った。
子供が産めない事をずっと大紀にバカにされていた。
自分はダメなんだと思ってしまい結婚泣て無理だと思っていた。
だが宗田家が母ジュリーヌを苦しめたと手紙が来て、宗田ホールディングが横領で困っているのを知り、優に100憶で親子の縁を切ってほしいと言って結婚を条件に100憶を渡した。
どうせ子供なんて産めないし、2人とも殺してやる! と思っていた。
だが…
柊の優しさに包まれてゆくうちに、樹里の中から殺意は消えて行った…。
でも、長年受けて来た辛さは消えないままだった。
宇宙から「僕の本当の子供だと思っている」と言われても、素直になれなかった。
養女として上野坂家に引き取られてきて、本当の両親はどんな人だったのだろう? と思わないわけはなく…お金で買われてきたと言われて、なんで自分なんて買って来たのかを聞きたいくらいだった。
殺意を持って結婚を申し込んだのに…こんなにも深く愛されるなんて…。
樹里にとっては計算外の事だった。
神父の誘導で誓いの言葉が述べられた。
お互いが誓いの言葉を述べて、指輪の交換になると、綺麗な輝くプラチナの結婚指輪が用意された。
微笑ましい表情で神父が結婚指輪を差し出すと、柊は樹里の左手の薬指にそっと指輪をはめた。
ピッタリなサイズで上品なダイヤが埋め込まれている指輪は、とても神秘的に見える。
樹里は柊にはめる指輪を見て、少し戸惑っていた。
「樹里さん、大丈夫ですから。俺の指にはめてくれますか? 」
柊が声をかけると、ちょっと緊張した表情で樹里は柊の左手の薬指に指輪をはめた。
神父と2人を見も待っているチャペルのスタッフ達が拍手をしてくれた。
「それでは、誓いのキスをお願いします」
お互いが見つめ合うと、ちょっと緊張している樹里に柊はそっと微笑みかけてくれた。
そっと樹里のヘッドドレスを開いて。
ゆっくりと重なる2人の唇…。
とても新鮮で、それでいて暖かいキスに胸がいっぱいなった樹里。
柊も感動して目が潤んでいた。