彼と彼女の取り違えられた人生と結婚
カラーン…カラーン…。
チャペルの鐘が鳴り響く。
扉が開いて外へ繋がる階段へと、柊と樹里が出てきた。
すると…。
外には宇宙と優とジュリーヌ、そして少し離れた場所に大紀もいた。
「あれ? どうして? 誰も呼ばない筈だったのに…」
柊が驚いていると、ゆっくりと宇宙が歩み寄って来た。
「2人共おめでとう」
シャキッと礼服に身を包んでいる宇宙を見て、柊は驚いた目を向けた。
「驚かせてごめん。ここのチャペルは、僕と風香が結婚式を挙げたチャペルなんだ」
「え? そうだったのですか? 」
「ああ、そうだよ。そして、偶然にも上野坂さんもここで結婚式を挙げたそうだよ」
え?
樹里はゆっくりと優とジュリーヌを見た。
優は樹里に優しく微笑んでくれた。
その笑みを見ると、胸の奥から込みあがってくるものを感じた樹里。
「僕は時々、このチャペルに来て教会でお祈りしているんだ。風香の事を思い出しながら、いなくなってしまった娘の事をずっと祈っていた。どうか無事でいて下さい、そして誰よりも幸せになって下さいとね」
言いながら宇宙はそっと樹里を見つめた…。