彼と彼女の取り違えられた人生と結婚

「有難う樹里…。やっぱり、お母さんにそっくりだね。お母さんも、素直じゃなくて強情な所があったけど。樹里のようにとっても優し人だったよ」
「…お母さんに会いたかったと思うけど。…お父さんがいてくれて、良かったと思っています…」

「もう何も心配しなくていいよ。樹里は、僕の本当の子供だから。この子達は、僕の血を引いている大切な孫だからね」
「はい…」

 
 子供が産まれた事で樹里はやっと素直になれたようだ。
 遠回りしたが、ここでほんとの親子の再会が果たせた…そんな日でもあった。





 2週間後。

 樹里は無事に退院して子供達も家に戻って来た。

 ベビーベッドが2つ並んで用意してあり、スヤスヤと眠っている檁と橸。

 双子は泣く時も一緒で大変だが、柊も子育てにはとても協力的で宇宙も家にいる事が多く手伝ってくれる事も多い。

 樹里よりも手際よくオムツを変えて、ミルクを作ってくれる宇宙は仮にも双子を育てた経験があるからと言っている。

 
「ただいま」

 柊が仕事から帰って来た。

「おかえりなさい」
 
 笑顔で迎えてくれる樹里。

「お帰り」

 宇宙もとても穏やかな表情で出迎えてくれる。


「夕飯で来ているよ」

 今日は宇宙が夕飯を作ってくれた。
 暖かいクリームシチューにポテトサラダ。
 宇宙は料理が得で、樹里が子育てで大変だと言ってよく夕食を作ってくれている。

 
 三人で囲む食卓は、とても和んでいていつも楽しい会話が弾んでいる。

 まだ赤ちゃんの檁と橸。
 新しい命が誕生して賑やかになった宗田家。

 
 この先もこの幸せが永遠に続きますように。

 END


 
 
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