彼と彼女の取り違えられた人生と結婚

 スラっと背の高いまるでモデルのような姿。
 綺麗な金色の髪が肩を超え綺麗になびいている。

 つばの広い黒い帽子を被ってサングラスをかけているが、シャープな輪郭とプルっとした唇がとても魅力的で思わず二度見したくなる。

 黒いワンピースは、スカート丈が踝まであり、なんとなく魔女のようなイメージも受ける。
 履いている靴は踵がない黒い靴。
 
 ショルダーバッグは高級革で作られたブランド品のようだ。


 歩いてくる女性を何となく見ていた樹里。


 時計台の傍を女性が通り過ぎる瞬間。

 樹里は遠目で見ていたが、ドキッと胸が高鳴ったのを感じた。


 なんだろう? この胸の高鳴り…。


 気になった樹里は通り過ぎた女性をじっと見ていた。


 樹里に気づかないまま女性は通り過ぎて行く…。


 行かないで…
 そんな気持ちあ込みあがって来た樹里。


 
 


 タワーマンション。

 時計台より徒歩5分~7分ほどの場所に建っている。
 アーケードのような、オシャレな道のりを歩いてマンション入り口へ向かうと暗証番号を押してエントラスへ入っていきエレベーターへと乗る。

 先ほどの女性が歩いて来て、マンションへ入るために暗証番号を押した。

 
 自動ドアが開いて中へ入って行く女性。


 女性が中へ入って行くと…少し遅れて樹里が歩いて来た。


 マンションの中へ入って行った女性を見て、樹里はどこか置いて行かれたような目をして見つめていた。


 コツン…コツン…。
 足音が聞こえてきて、ハッとなった樹里は物陰に隠れた。

 どうして隠れなくてはならないのか、自分でも判らなかったが。
 マンションの住人でもないのにここに居ては、不審者と間違えられるかもしれないとも思った。


 近づいてくる足音。
 その足音はなんとなく聞き覚えがあるような気がする。


 隠れている樹里の傍を足音が通り過ぎて行く…。
 どんどんと遠ざかる足音は、マンション入り口へと向かって行った。

 
 マンションの住人だろうか?
 そう思って樹里はこっそり覗いてみた。

 すると。
 樹里の視界に入ったのは意外な人物だった。

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