彼と彼女の取り違えられた人生と結婚
「俺が産まれて半年以上もあとの月日が刻まれていた。それに俺はずっと思っていた、案とは似ていないし、なんか違うって。ずっと俺の事、他人を見るような目をして見ていたし。俺の事は本気で怒らない様だったし」
「そんなことありません。だって、貴方の事は赤ちゃんの時からずっと見ているのですよ」
「でもどうせ血が繋がらないんだ、可愛くないって思っているんだろう? だから、樹里の事をお金で買って来たんだろう? 」
「何を言い出すのですか? そんなわけないじゃないですか。樹里の事は、お父さんが気に入ったから引き取って来たのですよ。お金を払ったのは、施設側がなかなか樹里の事を引き取らせてくれなかったからだと聞いています」
「俺がいるのに…なんで、わざわざ他人の子なんで、引き取るんだよ! 家の中、他人だらけじゃん。父さんだって、ろくに家にいないし」
「他人だらけ…そう言われても、否定はできません。でも、血のつながりは関係ないと思うのです。一緒に過ごしている時間で、絆は深くなりますから」
「綺麗ごというな! 」
大紀は叫んで走り出した。
「あ、待って下さい! 」
ジュリーヌは大紀を追いかけた。
見ていた優は追いかけようとしたが、ジュリーヌが目を覚まして誰もいなかったら…そう思うと、追いかけることが出来なかった。
部屋に戻り、眠っているジュリーヌを見ながら大紀とジュリーヌの帰りを待っていた。
明け方近くになり大紀だけが戻って来た。
優はジュリーヌの事を大紀に聞いたが「知らない! 」とだけ言って口を閉ざしてしまった。
朝日が昇ってもジュリーヌが帰ってこない事から、優はいなくなったと思い捜索願を出した。
足取りをたどってもジュリーヌの行方は分からないままで…
20年の月日が流れてしまった。