彼と彼女の取り違えられた人生と結婚

「人にものを頼む時に、そのような態度で頼みごとをするのですね? 貴女は」
「はぁ? 何言っているの? 貴方の息子さんの事でしょう! 話よりもお金を出すのが先でしょう! 」

 声を荒げて来た有希に、優は笑いを浮かべた。

「そんなに怒鳴らなくてもいいですよ。貴女は、お金を受け取るよりも先に行くべき場所があります」
「はぁ? 」

 ふざけるな! と怒り露に出してきた有希。

 と…

「そこまでだ! 」

 後ろから声がして有希は驚いて振り向いた。

 
 有希の後ろには入り口から入って来た2人の男性がいた。

「中園有希だな? 」
「横領罪、並びに詐欺罪で逮捕状が出ている! 」

 2人の男性は手帳を出して見せた。

 手帳を見た有希は驚いて目を丸くしていた。


 2人の男性は金奈警察署の刑事であった。
 一人の刑事の手には逮捕状が持たれていた。

「横領? 何の事です? 」

 焦った表情で白を切る有希。

「お前は宗田ホールディングから、100憶と言うお金を横領している。全て、証拠がそろっている」
「横領? 冗談じゃないわ! あれは、結納金としてもらったお金よ。どうして横領になるわけ? 」

 2人の刑事は呆れた表用を浮かべた。

「結納金だと? お前はお金だけを黙って自分の口座に振り込み、そのまま逃走しているではないか! 」
「その後に、複数のホストクラブに出入りしているのも確認している。高級マンションを購入しよとしていた事も、明白だ」

「何を言うの? 逃走なんてしていない! 結婚を断ってきたのは、向こうよ! 今、他の人と結婚している事が何より証拠だわ! 」

「話しは署で聞く」

 刑事は有希を取り押さえた。

「ちょっと! 何で私が連れて行かれるの? 何もしていないわ! 」

 抵抗する有希を取り押さえながら、刑事たちはそのまま連れていった。

 
 連れて行かれる有希を見ながら、優はホッとしていた。

 
 有希の叫び声がだんだん遠ざかって行き、優はホッとして椅子に座った。


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