彼と彼女の取り違えられた人生と結婚
唇が離れると、お互いに恥ずかしそうに頬を赤くしている顔を見て思わず笑いあってしまった優とジュリーヌ。
20年も離れていたのに、その空白の時間が一度に戻って来たような気がした。
「ゴメン…」
照れたように頭をかきながら謝る優を見て、ジュリーヌはクスッと笑った。
「そのお顔は…ずっと変わらないのですね」
「え? 覚えていてくれたの? 」
「はい。正確に言えば、思い出したという事になります」
「そっか…」
そっとジュリーヌを抱きしめた優は、とても安心した表情浮かべていた。
「今夜は…一緒にいてくれる? 」
「はい。でも、今夜だけでいいのですか? 」
そう言って、そっと見つめてきたジュリーヌ。
ツンと、優はジュリーヌのおでこをつついた。
「今夜だけでいいって、言うと思うの? 」
「いいえ」
目と目を合わせてクスッと笑い合う優とジュリーヌ。
こうして見ていると、なんだか若いカップルのように見えて初々しい2人である。
金奈総合病院。
仕事を終えて柊に付き添いにやって来た樹里。
柊は樹里がやってくると、ギュッと抱き着いてしばらく離れてくれなかった。
ソファーに2人で腰かけると、チュッと樹里の額にキスをした柊。
ちょっと照れた樹里を見るとかわいくて、またチュッと頬にキスをして…唇にキスをして…首筋にキスをして行った。
「ちょっと、ここは病院ですから…」
「え? でも誰も見ていないですよ、いいじゃないですか」
「でも、看護師さんがいつ来るか判らないから」
「さっき来たばかりですから、暫く来ませんよ」
そう言いながら、柊は服の上から樹里の胸をギュッと掴んできた。
「だめですって! 」
言いながら柊の手を押さえた樹里だが、ギュッと強い力で押されてしまった。
「ちょっと…」
抵抗していた樹里だが、久しぶりに触れられる感覚が心地よくて次第に言葉を失ってしまった。
「心配しないで下さい。軽くしか、しませんから」
耳元で柊がそう囁いた。