彼と彼女の取り違えられた人生と結婚
有希の家はごく普通の家庭で、平凡な一軒家に住んでいた。
父はサラリーマンで母は専業主婦だった。
しかし、有希はとても複雑な血縁の中で育っていた。
有希の母は父を騙していた。
有希は父とは血のつながりがなく、母親が出会い系サイトで関係を持った時に授かった子供であった。
父は男性不妊に近かったのか、なかなか子供ができなかった。
母ばかり責められ何度も検査を受けたが、特に異常もなく問題もなかった。
タイミング法も試しても授からないままで4年の月日が流れていた。
そんな時、父の兄が結婚してすぐに子供が授かり子供がいない母はますます責められるようになっていた。
何とかしなくてはと焦った母親は出会い系サイトに手を出して、ただ関係を持ちたいだけだの男を探して複数の男と関係を持った。
それと同時に父とも関係を持っていた。
出会い系サイトの男と関係を持ってゆくうちに、無事に妊娠した母は父の子供だと言って出産した。
だが、父は頭が良く何でもこなしてしまうのに有希は何をしてもダメだった。
父は薄々、母の浮気に気づいていたが離婚は面倒だと世間体を考え仮面夫婦を演じていた。
有希が大きくなると夫婦仲は冷めきって、母はまた出会い系サイトで年下の男を捕まえて貢いで浮気をしていた。
父も外に女を囲ってしまい、そのうち帰ってこなくなった。
有希が高校生になると、父も母も家にいない事が多くお金もなく食べる事もままならなくなった有希は母の真似をして出会い系サイトで男を捕まえ関係を持つ代わりにご飯を食べさせてもらったり泊めてもらったりしていた。
出会い系サイトの男と援助交際をしながら、有希は大学へ進学して、そこで柊に出会ったことでお金に不自由しない生活を手に入れた。
だが。
有希は誰かといる事が苦痛で仕方なかった。
ずっと一人でいる事が多く、父と母とも一緒にいる事は正直苦痛だった。
結婚の約束をしたが、結婚式の日取りなどが決まり始めると有希は、結婚なんて信じられない…そう思いはじめ、大金を持ち逃げして海外へ逃亡して自由に暮らそうと計画した。
その結果が…横領だったのっだ。