彼と彼女の取り違えられた人生と結婚
夕暮れ時になり。
宇宙はリッチ―ルヒルズへやって来た。
「え? ここを出て行くの? どうして? 」
驚いている宇宙に、ジュリーヌはそっと微笑んだ。
「ごめんなさい。実は、主人と再会したのです」
「主人? まさか、上野坂さんと? 」
「はい。樹里に再会して、主人の事もハッキリと思いだせたので勇気を出して電話してみました。驚いていましたが、会って話をして。もう一度やり直したいと主人からも言われましたので」
「驚いたなぁ…。そんなところまで、話が進んでいたんだ」
「すみません。大紀の事もあったので、どうしようかと迷っていたのですが」
「いや、記憶が戻ったならご主人の下に
戻った方がいい。上野坂さんも、とても心配していたから」
「長い年月、大変お世話になりました。…このお礼は改めて、致しますので」
「お礼なんていいよ。この先、幸せになってくれたらそれでいいから」
一息ついて、宇宙は大きめの封筒をカバンから取り出してジュリーヌに渡した。
「これ。僕がずっと20年かけて調査してきた事なんだけど、やっと手がかりが掴めたんだ」
「調査してきた事ですか? 」
「僕の本当の娘の事だよ。赤ちゃんの時に誘拐されてしまって、今もずっと見つからないままなんだ。あきらめる事なんてできなくてね」
「そんなに長い月日…ずっと探されていたのですか? 」
「とりあえず、封筒の中を見て欲しい。きっと、お互いにとって良い情報が入っていると思うから」
そう言われて封筒を受け取ったジュリーヌは、中身を見た。
封筒の中には何枚もの書類が入っていた。
その書類は、宇宙の子供が産まれた病院から赤ちゃんが誘拐される事件が多発していた事が描かれていて、ぞの事件の主犯は子供を誘拐して高値で子供に恵まれない家庭に子供を売る人身売買意をしていた組織の仕業だったことが判明した。
判明したのは今から15年前だったが、既に主犯格はバラバラになっていてリーダ各だった者達は不審死していて関わった者が逮捕されたが真相は分からないままである。
手掛かりを頼りに、人身売買された子供の行くへを追ってゆくと殆どの子供がお金持ちの子供が恵まれない家庭へ売られていたが、売れなかった子供は児童施設の前に捨てられていたり、公園に捨てられている事が多い事が判明している。