取引きは恋愛関係の始まり

『生きなさい、何があっても生きるの！私の分まで！そして誰よりも幸せになって、誰かを守れる人になって……』

最愛の母は、私が十三歳の時にそう言い残して病気で天国に旅立った。その時からだ。私、クラリス・E・モーガンが生きることに自分でも驚くほど執着するようになったのは……。

この世界は、あまりにも理不尽なことであふれている。平等なんて言葉は嘘だ。差別に暴力は未だにあって、弱者は一瞬で淘汰されて舞台から追い出される。そんなの、まっぴらごめんだわ。

自分が強くなるため、そして私が今生きているこの国を守るため、私は必死に勉強をしてある組織に属することに成功した。その組織とはCIA。

CIAとは日本語にすると中央情報局。人的情報を利用して世界中から国家安全保障に関する情報を収集、処理、分析するのが仕事。情報を集めるために犯罪組織に潜入することもある。

「……今日は組織の人間と会う日ね」

カレンダーを見ると、今日の日付に丸が付けられている。アイツらと接触するということに緊張が走った。いつまで経っても慣れない。