取引きは恋愛関係の始まり
それからはカクテルを飲みながら仕事の話をした。今度大きな麻薬の取引きを行うということと、人身売買のためにまた女性を誘拐するという犯罪を涼しい顔でタナトスは話した。

「わかりました。私は何をすればよろしいですか?」

「お前は麻薬取引きする予定の相手を調べておけ。ボスは信用しているみたいだが、俺は信用してねぇ。あれは俺たちの組織を裏切る気満々に見えた」

「わかりました」

自分が犯罪行為に加担しているなど、必要なこととはいえ胸が痛む。特に、誘拐やテロに加担させられた夜は眠れないほど胸が苦しかった。いつになればこの地獄は終わるのだろうか……。

二時間ほどで話は終わり、「ではまたデータを送りますね」と言って帰ろうとすると「待て」と腕を掴まれる。

「ホテルへ行くぞ」

タナトスは素早くカードを出して会計を済ませ、私を自身の愛車に押し込んだ。



タナトスに連れて来られたのは、この街で一番夜景が美しく見える言われセレブが集まる高級ホテルだった。高級ホテルのスイートルームで、私はシャワーを浴びてバスルーム一枚でぼんやりと夜景を眺めている。
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