冷徹弁護士は奥手な彼女を甘く激しく愛し倒す


「え、すごくない? あんなあからさまな誘い方初めて見た」
「据え膳ってやつですよね。私も初めて見ました」

こそこそと話していると、岩倉さんが筧さんの腕をやや強引に振りほどく。

「時間も興味もない。悪いが他のやつと行ってくれ」

あからさまな誘いを受けても表情ひとつ変えない岩倉さんに冷たくあしらわれた筧さんは、少しだけうろたえてからまた笑顔を作った。

「でもでも、私、今日そのつもりで来たので、すごい下着つけてるんです。見たくないですか?」

筧さんの誘いに、岩倉さんは澄ました顔で口を開く。

「それこそ興味もないしどうでもいい。それより、異性の前で堂々と下着の話はしない方がいい。今は女性もセクハラで訴えられる。執拗な誘いも同様だ。会社によっては、二度断られた時点でアウトになる。気を付けろ」

淡々と言い放った岩倉さんがスタスタと歩き出す。
それを見て、私たちも部署に戻るため移動する。予定していた通路には撃沈した筧さんがいるので、遠回りして戻ることにした。

「気持ちいいくらいの一刀両断だったね。筧さん、ちょっと派手だけど普通に綺麗な顔してるのにね。岩倉さんってぐいぐいくるタイプの女性苦手なのかな」
「あの、〝すごい下着〟ってどんな下着のことを言うんですか? 男性って一般的にそういう下着が好きなんでしょうか」

実は、筧さんが言った時からずっと気になっていたので聞いてみると、江並さんはキョトンとしたあとで、口の端を上げ「今日、仕事終わり予定ある?」と聞いたのだった。



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