冷徹弁護士は奥手な彼女を甘く激しく愛し倒す
仕事終わり、江並さんに連れられるまま立ち寄ったランジェリーショップ。
ファッションビルのなかにあったそのお店には、目を疑うような下着がいくつもあり、思わず江並さんのスーツの裾を掴んでいた。
「あの、これ、お尻の部分に丸く穴が開いてますし、こっちはほぼ紐ですし……下着として正しいんでしょうか。冷えません?」
こういう下着があるという知識はあったけれど、実際に目にしたのは初めてで戸惑う。
実用性が感じられないのに、店内が賑わっているからそこにも困惑していた。
需要はかなりあるらしい。
しかも、冷やかしではなく、お客さんはみんなして商品を購入していくのだから不思議で堪らなかった。
「もちろん普段使い用ではなくて、恋人とのそういう時間を盛り上げるためのスパイスみたいなものだよ。コスプレの一種っていうか」
「ああ、SMとかそういう感じですか?」
「いや、そこまでじゃないよ。コスプレなんて全然ノーマルでしょ。雰囲気づくりとでもいうのかな。出穂さんも、持ってないなら一着くらいあってもいいかもね」
「なるほど……」
近くにある下着を手に取って眺めていると、隣から江並さんが「出穂さん、付き合ってる人いるんだね」と話しかけてくる。
「興味あるってことは、盛り上がりたい相手がいるってことでしょ?」
「あ、いえ、そういうんじゃなくて……ただお世話になっているだけというか」
江並さんは「え」と一瞬弾かれたような顔をしたあと、眉を寄せた。