冷徹弁護士は奥手な彼女を甘く激しく愛し倒す
このマンションは通路から各部屋、どこでも空調が効いているので、二月にこんな格好でいても寒くはない。
それでも、下着にブラウスを羽織っただけの格好は落ち着かずソワソワした。
できるなら早く納得して出て行って欲しい……と考えていると、少しの沈黙のあと、岩倉さんは思い出したように「ああ」と声を出す。
「今日の、あの派手な女性社員とのやりとりを見てたのか。そういえばそんなようなことをあの女性社員も言ってたな」
言い当てられ、わずかな気まずさを感じながらうなずく。
別に隠すつもりはなかったけれど、立ち聞き……というか完全に盗み聞きしていたので後ろめたさがあった。
岩倉さんの指先が、まだいたずらに私の背中に触れているせいでずっと変な緊張感があった。
「すみません。通りがかって聞いちゃったんです。それで、〝すごい下着〟がどんなのかを江並さんに聞いたら、お店に連れて行ってくれて……っていう流れです」
下着から早く話題を逸らしたくて、すぐに続ける。
「岩倉さん、女性にぐいぐいこられるの苦手なんですか? 筧さんにあんなに誘われていたのに平然とした顔してたので。……あと、指、やめてください。くすぐったいので」
「たしかにああいったタイプは好きじゃないな。鼻にかかる声もぬめっとした視線も不快でしかない。仕事をする場で下着がどうのと話してくるところも、夜の誘いをしてくるところもどうかしてるんじゃないかと思う。理解できない」