冷徹弁護士は奥手な彼女を甘く激しく愛し倒す
岩倉さんの視線がじっと黒い下着に注がれているのが、見なくてもありありとわかる。
恥ずかしさと情けなさが一緒くたに湧き上がり、なぜだか泣きたくなった。
絶対、書類に目を通すみたいに涼しい顔をしているのが予想がつくからまた悲しい。
「そういうところ、本当にどうかと思います……」
「おまえが執拗に隠すからだろ。二ヵ月半前、大丈夫って言葉で隠し続けて倒れた前科があるのを忘れるなよ。おまえが勝手な判断で自己完結させるとろくなことにならないと俺ももう学んだ」
「それとこれとは別ですし……あの、似合っていないので、あまり見ないでください。それに、岩倉さん、こういう下着好きじゃないみたいですし、本当に……その、もう許してください」
目を伏せ言うと、岩倉さんが「俺がいつ好きじゃないなんて言った?」と聞いてくる。
こんな格好で話し続けたくはないものの、もう諦めて顔を上げた。
「だって、筧さんの〝すごい下着〟の誘惑にのっていなかったですし……夜の誘いを女性からされるのも嫌みたいなこと言ってましたし」
目を合わせて言った私に、岩倉さんはわずかに顔をしかめた。
「まず根本的な部分が違う。職場でああいう誘いをしてくるのは常識的におかしいと言っただけで、今は違う。それに、あの女性社員とおまえも違うだろ」
「え……」
「十分、煽られる」
手をそれぞれ掴まれたまま、真っ直ぐに見つめてくる岩倉さんに、トクンと胸が弾む。
今まではなかった種類の胸の音。
外側からは岩倉さんの眼差しに射抜かれ、内側からは恋を自覚した心が騒ぎ、もうとてもじゃないけれど冷静でなんていられなかった。
顔に熱がこもり、涙が浮かんだ目を伏せる。
そんな私をじっと見た岩倉さんが、私の腰を抱き寄せる。直接腰に触れた手におかしいくらいに体が跳ねた。