冷徹弁護士は奥手な彼女を甘く激しく愛し倒す


「いえ。大丈夫です」
「もしかして、〝細ければ細いほど可愛い〟教の信者だったりしないよね? ダメだよ。女の子は平均体重でニコニコしてるのが一番可愛いんだから」
「いえ、本当に落ち込んだわけじゃないので……それに、佐鳥さんの言うとおりだと思います」
「だよね。岩倉だって、桜ちゃんが順調に体重戻ってきて喜んでるでしょ?」

佐鳥さんがニコッとした笑顔で聞く。
その問いかけにうまく言葉が返せなくて、曖昧な笑みになってしまった。

この同居生活は、体も心もボロボロになった私を放っておけなかった岩倉さんが、私を保護するような形で始まった。
だから、期限はおのずと私が元気になるまでになる。

江並さんとランジェリーショップに行った時から頭のすみでチラチラしている不安が、それまでよりももっと鮮明になった気分だった。

岩倉さんは、いつ、私が元気になったと判断を下すのだろう。

体重が平均値になったら?
食事の量が増えたら?
体温調節がうまくできるようになったら?

ひとりでなんでもできるようになったら?

その時が、この同居を解消するタイムリミットで……岩倉さんとのお別れとなる。

私がおかしな反応ばかりしていたからだろう。
佐鳥さんが腰を折って私の顔を覗き込む。そして、じっと真意を探るように見つめながら聞く。

「桜ちゃんは、この先どうするつもりでいるの?」



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