冷徹弁護士は奥手な彼女を甘く激しく愛し倒す
「えー……いや、うん。出穂さんが悩むのもわかる。あの岩倉さんが名前で呼ぶって明らかに特別感あるもんね。出穂さんと御法川さんを〝会わせたくなかった〟って言う理由も、御法川さんと付き合っているとすれば当然……っていう考え方もできるよね」
「そうですよね。御法川さんが〝普段は名前で呼ぶのに〟って言っても、岩倉さんは否定しなかったので、事実なんだと思います。それなのに、あの場ではわざわざ名字で呼んだのは……私が変な気を遣わせちゃったからなのかなって」
岩倉さんは優しいから、ふたりが恋人だと私が知ったら、今まですごく迷惑をかけてしまったと思い、落ち込むと考えたのかもしれない。
岩倉さんが不機嫌な顔を見せられるところから、御法川さんとはただの仕事相手というわけではなさそうだし、御法川さんの私への態度から見ても、付き合っている可能性はゼロではないと思う。
いや、ゼロどころか結構高い確率に思える。
「でもさ、いくら岩倉さんが出穂さんの言うように優しい人だったとしても、恋人のいる立場で異性と同居なんてしないんじゃない? 岩倉さん、そのへんカッチリしてそうだもん。間違っても恋人以外とは体の関係なんて持たないよ」
「私もそう思います。だからこそ、私がものすごく無理させたんじゃないかなって……岩倉さん、優しいから。私の不安を取り除くために体まで貸してくれたのかもしれないって思ったら……もう、申し訳なさすぎて」