冷徹弁護士は奥手な彼女を甘く激しく愛し倒す
「岩倉さんは私にはなにも言わなかったけど、御法川さんとは名前で呼ぶような仲みたいですし……その、もし、御法川さんや、それ以外の女性とお付き合いしているなら私の存在は岩倉さんにとってすごく邪魔だと思ったので……という経緯です」
説明を終えても岩倉さんはわからなそうに眉間にしわを寄せたままなので、続ける。
「それに、私は家賃も入れていないですし、食費を少し入れているだけの状態です。岩倉さんにはなんの得もないのに、ただ負担をかけている今の生活は普通に考えておかしいなって思って……岩倉さんの善意に甘えて、いつまでも居候させてもらうわけにはいかないです」
話しながら胸が絞られるように痛んだ。
この部屋から出て行くことが岩倉さんのためになるなら、それは私も望んでいることだ。
なにも無理やり出て行かされるわけじゃない。
それなのにこんなにも心がちぎれそうなのは……感情が理性だとかそういうものとは別だから。
もう私の中にすっかり居場所を作っている岩倉さんへの恋心が泣いているから。
このまま、切なさに押しつぶされるまま、心も体も消えていくんじゃないかと思うほどの痛みを感じながらも、笑みを作った。
「体調も、岩倉さんのおかげで回復してきました。というか……すみません。こういう話は、もっと早い段階で私からするべきでし……」
「おまえにとってこの生活は〝居候〟だったのか」
遮られるように言われる。
岩倉さんは真剣な面持ちで私を見ていた。