冷徹弁護士は奥手な彼女を甘く激しく愛し倒す
今更の質問だった。
でも、考えてみれば言ったことも聞かれたこともなかったと気付く。
この三ヵ月、毎日一緒に過ごして、同じテーブルでご飯を食べて、たくさん会話をしてきたのに、そんな肝心なことを言ってこなかったのか……と不思議な気持ちになりながら答える。
「最初は怖かったです。やけに私のプライベートに口出ししてくるから……でも、今はいい人だと思っています。わかりにくい部分はあっても、本質はとても優しいですし、家事も完璧……」
「そういう意味で聞いたんじゃない」
途中で止めた岩倉さんが、私をじっと見つめる。
「好きか嫌いか、好きだとしたらどういうジャンルの好きかを聞いている」
冷静に私の気持ちを計ろうとする瞳に、溺れそうなほど好きの感情が溢れ出す。
告げて許されるなら、この気持ちをそのまま伝えたい。
ただ、好きだって……大好きだって言いたい。
でも、迷惑しかかけていない私がそんなこと言えない。
そう思うのに、「出穂」と私を呼ぶ声が、まるで気持ちをすくうように甘く耳に届く。
未だ私を見ている岩倉さんに、うつむき……唇をかみしめた。
「電話の時……」
「電話?」
「岩倉さん、電話の時、必ず私よりも後に切るんです。私の寝起きの顔を見て、体調が悪いのかどうか確認してるのも気付いてます。ご飯でもデザートでも、上手に盛り付けられた方を私にくれるところも優しいなって、いつも思ってました。私、岩倉さんのいいところ、すごくたくさん言えるんです」
そう笑って続ける。