冷徹弁護士は奥手な彼女を甘く激しく愛し倒す
「いえ、だって……あの、私、付き合って欲しいなんて言ってません。これだけ親切にしてもらっている私がそんな図々しいこと絶対に言えませんし、これ以上の迷惑は……」
「それなら俺から言う。俺と付き合ってほしい」
目を合わせたままハッキリと言われ……うっかりうなずきそうになってから、ダメだ、と首を横に振った。
「そういう問題じゃなくて……だって、御法川さんは……?」
そうだ。御法川さんとの問題がまだ残っている。
明らかにただの仕事相手ではなかったと言うと、岩倉さんは「ああ、あれか」と面倒くさそうに説明する。
「彼女とは本当になんの関係もない。ただのクライアントの娘で、それ以上でも以下でもない」
「でも、普段は名前で呼んでるって……」
「彼女と会うときは、彼女の父親の会社でだからな。当然、社長も御法川社長だし、あの会社には社長の親族も何人かいる。全員名字で呼ぶとややこしいから、社長以外は名前で呼んでいるだけだ。でも、土曜日は彼女しかあの場にはいなかったし名前で呼ぶ必要もないと判断したまでだ」
「でも……岩倉さん、不機嫌そうだったし、それに私を御法川さんに会わせたくなかったって言ってましたよね?」
私の質問に、岩倉さんは「それも、たぶん、おまえの勘違いだ」と答える。