冷徹弁護士は奥手な彼女を甘く激しく愛し倒す
「い、いえ、侮辱なんてしてません」
「俺は、付き合った女に見返りを求めるような男じゃないし、メリットを考えた上でしか感情を動かさないわけでもない」
はっきりと言われ……ハッとする。
たしかに今、私は岩倉さんを侮辱したのかもしれない。
私の言葉は、岩倉さんは純粋な恋なんてしないと言っているようなものだった。
無意識だったけれど、失礼な発言だったと思い、「すみません」と謝ったあと、続けた。
「でも、私はなんでもいいから与えたくなるんです。それを受け取ってもらえると安心して、隣にいていいんだなって思えるというか。なので……岩倉さんのためというよりは、私のために必要な行為なのかもしれません」
話しながら、自分で気付く。
私は、与えられるよりも与えたい質なんだと。
情でも物でも、受け取ってもらえるとホッとする。想われているんだと実感できて安心する。
好きな人が相手ならなおさらだ。
だから、与えられるだけで、私からはなにも返せない岩倉さんとの生活は、楽しい反面、どこか落ち着かなかった。
「今までの恋愛も、私が注ぎ続けるばかりだった気がするので……その、慣れもあるのかもしれませんが、もらってばかりだと不安になるんです。私も、岩倉さんになにかあげて、受け取ってもらいたくなるんです」
こんなことを考えるようになったのも、気持ちが回復したからで、岩倉さんのおかげだ。
岩倉さんがたくさんの優しさや行動で私の気持ちを満たしてくれたから、自分以外のことを考える余裕ができた。
岩倉さんに恋ができた。
そう伝えると、岩倉さんはすぐに「なるほど。わかった」とうなずいた。