冷徹弁護士は奥手な彼女を甘く激しく愛し倒す
気付けばバレンタインはすぐそこまで近づいてきていた。
江並さんと交換する約束をしているのを思い出し、帰宅後、慌てて携帯でネットショップを覗く。
職場の先輩へ渡すチョコとしてはどれくらいの価格で、どんなものが好まれるのだろうと、特集サイトみたいなものも見たけれど、どれもピンとこなくて首を傾げる。
気持ちの問題だということはわかっていても、江並さんにはとてもお世話になっているし、どうせなら納得いくものを渡したい。
「バラの形……可愛いけど、色がなぁ……」
ブラックチョコレート、ミルクチョコレート、ホワイトチョコレートの三色だけで、形はいいのに色合いが地味に思えてしまう。
江並さんは華やかな人だし、赤とかピンクとかオレンジ色といったチョコがよさそうだけど、これだというものが見つけられない。
「明日お店に行くとして……なかった場合、夜注文して、翌日発送ならギリギリ……」
とりあえず、お店で見つけられなかった場合に備えて、これなら妥協してもいいかな、というチョコをカートにキープしておく。
「ラッピング……専用の紙袋がついてくるなら、このままでもいいのかな」
ぶつぶつ独り言を言いながらオプションを眺めていて、ふと、人の気配に気付いた。
驚いて振り向くと、後ろに立った岩倉さんが私の携帯を一緒に覗いて声にならない悲鳴がもれる。
いつ帰ってきたのか気付かなかった……。