冷徹弁護士は奥手な彼女を甘く激しく愛し倒す
「そういえば、最近はマカロンもお返しの定番になってきましたよね。マカロンの場合、告白の返事ってどうなるんだろう……」
ホワイトデーに何が返されるかによって、告白の返事が変わってきたはずだ。
たしか、キャンディーだとOKだったような……と考えていると、岩倉さんが言う。
「バレンタインの告白に対して、マシュマロ、クッキーは断りの意味、マカロンやキャンディーは自分も好きだという意味だな」
「そうなんですね……詳しいですね」
「下手なものを返して、ややこしいことになるのは避けたいからな」
「あ、なるほど」
岩倉さんがワイシャツを腕まくりして冷蔵庫を開ける。
「パスタだったらなにがいい?」と聞かれ、少し悩んだあと「和風がいいです」と返すと、岩倉さんはシーフードやベーコン、玉ねぎなどを取り出す。
岩倉さんがオリーブオイルをフライパンにひく傍らで、パントリーから5ミリのパスタを取り出した。
和風やトマトソース、カルボナーラなど、種類によってパスタの細さは使い分けていた岩倉さんだけれど、いつだったか私が細いのが好きだと話して以降、パントリーに控えるパスタは5ミリのものだけになった。
今更そこまでこだわりがあるわけではなかったとは言えないし、それに岩倉さんの行動が嬉しくもあるのでそこには触れずに、大きな鍋でお湯を沸かす。
「告白を断るために相手にクッキーやマシュマロを買うって、なんだか不思議です。だったら返さないっていう選択でもいい気がしますし」
「俺も、好きな相手からのチョコ以外は断ればいい話だと思ってる。でも、社会に出れば付き合いもあるから波を立てないようそんな暗黙のルールができたんだろ」
「なるほど……」