冷徹弁護士は奥手な彼女を甘く激しく愛し倒す
でもそれも理解できる。
長身ですらっとしていて顔立ちもよく、しかも弁護士となれば、周りの女性は放っておかない。きっと他の会社に出向いている時も、注目の的だ。
近寄りがたいオーラも見方を変えれば、高貴というか魅力のひとつに映るのかもしれない。
「岩倉さんには、倒れたところを助けていただいたんです。それからは食育されている感じで……なので、関係を表すとしたら〝恩人〟とかになるんでしょうか」
いくら私でも〝同居人〟なんて言ったらまずいことはわかるので、無難に答える。
二ヵ月前のヘロヘロ状態だったら、事実をそのまま口にしていたかもしれないけれど、寝不足も過労も栄養失調も、この二ヵ月間の岩倉さんの食事とまともなライフサイクルのおかげで、回復した。
頭もスッキリしているし、体もだるくない。
完全復活だ……と思っていたのだけれど。
「食育? ああ、たしかにね」と納得したように言った江並さんは、眉を寄せ叱るような顔で私を見た。
「出穂さん、絶対ちゃんと食べてないでしょ。全体的に骨っぽいっていうか、痩せすぎだよ。無理なダイエットとかしてないよね? このスーツだってサイズ合ってないし……って、え、待って待って。九号がこんなガバガバはやばいって」