冷徹弁護士は奥手な彼女を甘く激しく愛し倒す


今日買った化粧品はしっかりとしたメーカーの物で、化粧水一本でも五千円は超える代物だ。ドラッグストアで売っているプチプラのコスメとはわけが違う。

『俺が勝手にしていることだ。おまえは金も口も出すな』

そう言われ、家賃も光熱費も食費でさえもろくに支払わせてもらえていない現状があるので、そこに加えて私の日用品までとなると、ますます肩身が狭くなる。

私が絶世の美女ならともかく、着飾ってもなにもおもしろくないレベルだというのは自分自身わかっているので、岩倉さんがなんでこんなにも私の面倒を見るのかが不思議だった。

「あの、結構な量になっちゃってましたけど、大丈夫ですか? 岩倉さん、部屋には必要最低限のものしか置きたくないんですよね? それなのに私の化粧品があんなに並んでいたら嫌じゃないですか?」

一緒に暮らしていれば、お互いの性格だけでなく、習慣や癖も自然とわかってくる。

岩倉さんは、無駄なものは持ちたがらない人だ。

日用品のストックだとかは別としても、それ以外の余分は嫌う。
たとえば、食器類だって必要最低限の枚数しかないし、郵便物もすぐに仕分けして捨てている。

私は、前使っていた携帯とかパソコンも、もしかしたら今後必要になるかも……と思いついとっておくけれど、岩倉さんはすぐに処分するタイプだ。

そんな岩倉さんからしたら、あの大量の化粧品は目障りなんじゃないだろうか。


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