冷徹弁護士は奥手な彼女を甘く激しく愛し倒す


そんなことを考え再びうつむいたとき、戻ってきた岩倉さんが私の前に白いカップをコトッと置く。たっぷりのクリームが乗っている上に、細かく刻んだチョコがかかっていた。

「ソイラテだ。飲めそうか?」

向かいに座った岩倉さんの前にはブラックコーヒーが置かれる。

「はい……あの、さっきはすみませんでした。私、びっくりして、あんな……」
「いいから、とりあえず飲め」
「あ、はい……これ、岩倉さんが選んでくれたんですか?」

岩倉さんはかなりのコーヒー好きだから、部屋でも外でもコーヒー一択だ。
私もコーヒーは好きだから、いつもだったらふたりしてコーヒーを頼んでいる場面なのに、急に出てきたソイラテが不思議で聞くと、岩倉さんはコーヒーを飲みながら答える。

「おまえは甘い物が好きだから、そういうものの方が落ち着くだろ」
「ありがとうございます……」

お礼を言ってからカップを持つ。
陶器を通して伝わってくる熱に、初めて自分の手が冷たくなっていることに気付いた。

コクリと飲むと、温かい豆乳に混じってふわふわのクリームとチョコの甘さを感じる。体のなかに流れ込んでいくと同時に、緊張が和らいでいくのを感じた。

「おいしいです」

カップを両手で持ったまま、なんとか笑顔を浮かべる。
そんな私をじっと見た岩倉さんは、コーヒーの入ったカップをテーブルに置いてから口を開く。

< 61 / 184 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop