冷徹弁護士は奥手な彼女を甘く激しく愛し倒す
「あの、服を見るって、岩倉さんのじゃ……」
「おまえの服だ。俺は間に合ってる」
顔だけじゃなく体まで好き勝手される予感がして、頭がくらくらした。
「もしかして、小さい頃、お人形遊びが好きだったりしましたか?」
私に服を当てては、頷いたり首を捻ったりしてを繰り返している岩倉さんに聞く。
私は立っているだけなのに、なぜだかものすごい疲労感があった。
岩倉さんが入るお店は、値札を見るなりそっと裏返しに置いて退店したくなるような価格設定のお店ばかりだから、余計に緊張したせいもあると思う。
最初は全力で遠慮していたけれど、三店舗目となった今は、もう岩倉さんの自由にしてもらっていた。
どうせ私の意見は聞き入れられない。
というか、岩倉さんは私の意思も意見も求めていないように見える。好き勝手しているだけだとしたら、そこに私が口を出す方がおかしいのかもしれない、とおかしな思考回路に入り込んでいた。
「好きなわけないだろ。小さい頃は、海の生き物だとか天体に夢中だった」
「……そうですか」
じゃあ、なんで今こうも私を着せ替えしているんだろう。
げんなりしながらも言う通りにしていると、岩倉さんが聞く。