冷徹弁護士は奥手な彼女を甘く激しく愛し倒す
「もともとのサイズは九号だったんだな?」
「はい。就職する時に作ったので、半年くらい前まではそうでした」
「それなら、今日買うのは九号にしておく。今は緩くても、そこまでは俺が戻す」
「……岩倉さんって、弁護士だけあって使命感がすごいですよね」と言いきるや否や、ショップ前で泣く男の子に気付いた。
幼稚園児くらいだろうか。
目に溜まった涙を腕でぐいっと拭き、唇をかんでいる男の子の近くには、親御さんだと思われる大人がいない。
気になって近づき、そっとしゃがんで目を合わせた。
「こんにちは。今日は誰と一緒に来たの?」
なるべく柔らかい声と表情を意識して声をかける。
最初は知らない人に話しかけられて驚いていた様子の男の子だったけれど、少ししてから「ママと、みーくん……」と短く答えた。
「みーくんって、君のことかな」
「うん。みひろ」
「そっか。みーくんはママと来たんだね。今、ママは一緒じゃないの?」
色々と聞きたいことはあるけれど、混乱させてまた泣かせちゃうと困るので、ひとつひとつ聞いていく。