冷徹弁護士は奥手な彼女を甘く激しく愛し倒す
「その女性社員は、周りに他の社員がいるときでも嫌味を言ってくるのか?」
「そうですね……。ふたりきりでも、周りに人がいても関係ない感じです。周りの方は苦笑いというか、どう反応すればいいのかわからない顔してるので、私が申し訳なくなります」
当の本人は、他の人の前で私をバカにできて満足そうにしているけれど、それ以外の社員はそんなものを見せられても困るだけだ。
「どうして上司はそんな社員を放っておくんだ? 普通に考えて、和を乱されて迷惑だろ」
「部長がお世話になってる方の親族だから強く出られないんだって、江並さんが言ってました」
岩倉さんが大きなため息を落とすので、なんだか申し訳なくなり話題を変えようと口を開く。
「そういえば、その筧さんが岩倉さんのことを好きみたいですね」
咄嗟に出た話題は、決して場の雰囲気を変えるものではなく、選択を間違ったのだと自分でもわかった。
筧さん繋がりで思いついたまま口にしたけれど、よく考えてみたら筧さんにとても申し訳ないことをした気がする。
「……だとしたら、なんだ? どういう意図で言ってる?」
しかも岩倉さんの反応がこんななので、余計に懺悔したくなった。
「いえ……意図とかはないです。ただ、思い出したのでつい言っただけです」
「そうか。くだらない話はするな」
岩倉さんは、筧さんのことをよく知らない。その上、私が悪口のようなことを言ったから、印象が悪くなったのかもしれない。
……だとしても。