冷徹弁護士は奥手な彼女を甘く激しく愛し倒す
『チーズ……? あ! そうそう! 岩倉にさ、珍しく〝これやる〟とか言われたと思ったら密閉されたブルーチーズでさー、職場で開けちゃって大惨事』
なんとなく責任を感じて謝りたくなりながら、手元の携帯で岩倉さんに電話をかける。
今日は一件クライアントと打ち合わせがあると聞いているけれど、なにかあったら電話するように言われている。
「あの、岩倉さんに確認の電話を入れるので、少し待っていただいても大丈夫でしょうか?」
『うん。いいよー。でもなるべく早めにお願い。コンシェルジュの女の人がめちゃくちゃ見てくる』
そうか。あまりに長いこと待たせていたら、不審者だと怪しまれる可能性がある。
焦って携帯を耳にあてる。
私の不安を打ち消すように岩倉さんはすぐに電話に出てくれて、佐鳥さんのことを話すと自分ももう帰宅できるから、部屋に通しておいていいと返ってきた。
岩倉さんに言われた通り部屋に入ってもらう。
実際に見る佐鳥さんは、岩倉さんと同じくらいの身長があり、甘い、アイドルみたいな顔立ちをしていて……そして、やっぱり軽薄そうな雰囲気があった。
大学時代の同級生らしい。
岩倉さんも年齢からすると若く見えるのに、佐鳥さんはそれ以上に若く見える。雰囲気の問題だろうか。