冷徹弁護士は奥手な彼女を甘く激しく愛し倒す
「あの、岩倉さんと佐鳥さんは昔からの友人なんですよね。つまり、佐鳥さんは岩倉さんのことをよく知ってるんですよね?」
確認するように聞いた私に、佐鳥さんはにっと口の端を上げて「なになに? 岩倉のことでなにか聞きたいの?」とテーブルに身を乗り出した。
この部屋には今、佐鳥さんと私だけだ。
内緒話の必要性はないけれど、なんとなく私も同じように身を乗り出して相談する。
「はい。あの、岩倉さんって、どうして私に構うんでしょうか」
「……うん?」
「見る限り、世話焼くのが好きってわけではなさそうですし、むしろ、他人との付き合いは距離を置きたがりそうなイメージがあるんです。なのに、ただの隣人だった私を助けて、前の会社との退職のやりとりも全部間に入ってしてくれて、同居させてくれて、食事の面倒も見てくれて……そんなの、普通に考えておかしいなって、最近思いまして」
真面目な相談だったのだけれど、佐鳥さんは意外だったようで、ポカンとした顔をしていた。
数秒そうした後、「えーっと」と後ろ頭をかきながら首を傾げる。
「それ、最近思ったの? 俺は最初からおかしいなって思ってたけど」
当然の疑問に、苦笑いを浮かべながら答える。