冷徹弁護士は奥手な彼女を甘く激しく愛し倒す


何度か頭の中に浮かんでいる疑問。
その答えを考えると、最近は感じなくなったはずの動悸の気配がして、慌てて考えを停止する。

「細い子が堪らなく好きだとか?」

胸が少しおかしな音を立て始めたところで言われる。
「スレンダーな子が好きって男も割といるし」と言う佐鳥さんに、ひと呼吸してから口を開いた。

「でも、岩倉さんはもっと食べて肉をつけろって言います」
「じゃあ違うかー。それにしても、桜ちゃん、細いね。ダイエット?」
「いえ。その、一時期ゼリーしか食べなかったので、その名残りというか」

過労と睡眠不足、栄養失調でボロボロになった体は今も完全には戻らない。

岩倉さんが『こういうメンタルからくるものは、時間をかけて直していった方がいい』と言うので、私も焦らないようにしていると話すと、佐鳥さんは「そうだね」と笑った。

「でも、じゃあ、そのときに胸もサイズダウンしちゃった感じ?」
「胸……」

指摘され、そういえば……と思い自分の胸を見下ろす。

サイズがいくつだったのかがよく思いだせない。
思い返してみれば下着を新調したのなんて一年以上前が最後で、それ以降は同じ物を使い続けている。

なんとなくアンダーもトップも合っていない気はしていたけれど、もしかしたらサイズが変わったのだろうか。

変わったとしたら確実にサイズダウンしているわけで、もともと大きな方ではないだけに、それはやっぱり少しショックに思った。


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