冷徹弁護士は奥手な彼女を甘く激しく愛し倒す
欲しいものが決まれば、あとはもう考え行動に移すまでだ。
こいつの健康状態を見れば監視下に置くのが一番だと思い、同居を選んだ。
飽きたら、適当に話をして追い出せばいい。
弁護士の俺には、都合のいい言葉を並べて論破し納得させる自信があった。
「予定外だったな」
自分自身が恋愛に淡泊だとは知っているだけに、同居生活がここまで続くなんて思いもしなかったし、他人との生活に慣れ、楽しみ癒される日がくるなんて想像もしていなかった。
というよりも、こいつと知り合ってから自分でも信じられない行動ばかりしている。
慣れない世話を焼いてこいつの仕事や生活にまで口を出し、連れ去るも同然にこの生活を始めた。
これまでの俺だったら考えられない。
ここまで出穂に執着するのは、あの夏の日、俺自身がこいつに救われたという気持ちがわずかでもあるからだと思っていた。
100%そうかと聞かれれば違うが、恩返しという部分も多少なりともあったように思う。
でも……おそらく俺は、出穂が回復しきったところで――。