ずっと甘溺愛婚 ~それでも性悪お嬢様は俺様御曹司に溺愛される~
月菜さんと約束した料理教室の日、彼女は出先からそのまま教室に行くと言っていたので私も仕事を終えると急いで教室へと向かった。
教室のあるビルの前で立っている月菜さんを見つけて、走って近付き声をかける。
「ごめんなさい、待たせてしまって……月菜さん、どうかしたの?」
私が近付いてきたのに気付かず、どこかボーっとした様子の月菜さん。もしかして、柚瑠木さんと何かあったのかしら?
「香津美さん……いえ、さっきちょっと変わったご夫婦がいらっしゃったんですが。なんていうか、少し気になってしまって。」
「変わった夫婦?どんなふうに……?」
変わっていると言えば私や月菜さんの結婚も少し変わっているとは思うけれど……いったい、どんな夫婦だったのかしらね。
上手く説明できない様子の月菜さんの肩をポンと叩き、一緒にビルの中に入る。
「まあいいわ、今日の目的は料理ですもの。行きましょう、月菜さん。」
「は、はい!でも、多分そのご夫婦は……」
何かを言いかけた月菜さん、私は彼女を気にしながら料理教室の扉を開くと――――
「……だからっ、ここまでついてこなくても大丈夫です。私は小さな子供ではないんですよ!?」
目の前に真っ黒で大きな男性、きっとこの人は聖壱さんよりも背が高いわ。
その大きな男性を後ろから女性が必死に押しているようだけど、申し訳ないけれどこれっぽっちも動いてい無さそうよ?
とりあえずこの二人はこんなところで何をしているのかしらね?正直に言うと、邪魔だわ。