ずっと甘溺愛婚 ~それでも性悪お嬢様は俺様御曹司に溺愛される~
新婚生活をもっと幸せに!
「聖香! お父さんが今帰って来たぞ!」
玄関のドアを乱暴に開けて大きな足音を立ててこちらに向かってくるのは、私の愛しの旦那様……なのだけど。前のように彼を玄関まで迎えることは少なくなった。
何故ならば……
「しーっ! いつも静かに帰って来てって言ってるでしょう、聖香はさっき眠ったばかりなのよ?」
生まれたばかりの愛娘、聖香。この子はいつも聖壱さんが帰ってくる時間にばかり眠りたがる、私と二人の時はなかなか眠ってくれないのに。
だけど聖香と遊びたい聖壱さんはそれが不満な様子、眠った聖香の頬を指先でツンツンとつついてる。
「この子の寝顔だって可愛いでしょう? 無理に起こして泣かれたら困るのは貴方の方なのよ」
「分かってる、我慢すればいいんだろ。それよりも、ほら香津美……」
聖香がぐっすり眠っているのを良い事に、聖壱さんは私におかえりなさいのキスを強請る。わたしも「しょうがないわね」と言いながら、それに応えてしまう。
妊娠、出産で私たちの生活も随分変わったけれど、こうして二人でいる時間の甘さは増したかもしれない。
「ふう……ふにゃ、ああ~っ」
「あら、聖香が起きちゃったみたい」
ベビーベッドでその小さな手足をもぞもぞと動かす聖香、そんな娘の様子をすぐに見に行く聖壱さん。その光景にどうしようもないくらい、胸の中が暖かな何かで溢れていく。
そんな二人を見守る幸せを、これからもしっかりと胸に抱いて……
2021/05/19 ーEND―
花吹