ずっと甘溺愛婚 ~それでも性悪お嬢様は俺様御曹司に溺愛される~
「すみません、今日から《《俺の》》妻がお世話になるので挨拶をしておこうと思いまして……」
料理の先生が男性だという事が分かるとさっきより明らかに不機嫌になったわね、あの旦那さん。私には匡介さんがしたいのは先生への挨拶では無くて、警戒のように感じるわ。
「それは分かりましたが、もう授業が始まります。今日は旦那さんも一緒に受けられるんですか?」
「いえ、彼はすぐに帰りますから。匡介さんもういいですよね、挨拶が終わったんだから帰ってください!」
先生にそう言うと妻の杏凛さんは匡介さんの背中をぐいぐいと押し教室から出して扉を閉めてしまった。まあ、授業を受けるのは杏凛さんなんだから問題はないと思うけれど。
でもまさかこの二人、毎回こうなるってことは無いわよね?
「では手前のホワイトボードに皆さんの名前を書いてますので、そのように調理台に並んでもらっていいですか?」
月菜さんと一緒にホワイトボードを確認する、私達は同じ調理台ね。そして……まあそんな気はしていたんだけれど。
「もう一人は鏡谷 杏凛さんですね。」
「そう……みたいね。」
でも杏凛さんはあの旦那さんよりはずっと話が通じそうな感じではあったし、きっと大丈夫でしょ。
私は月菜さんと一緒に既に杏凛さんが立っている調理台へ。