ずっと甘溺愛婚 ~それでも性悪お嬢様は俺様御曹司に溺愛される~


 月菜(つきな)さんの返事はやはり私が思っていた通りだった。純粋に柚瑠木(ゆるぎ)さんを慕う月菜さんの想いはとても真っ直ぐで、きっと彼女なら柚瑠木さんを変えていける……そう確信したの。
 こんなに素直な好意を向けられていれば、あの柚瑠木さんだってずっと無感情でいられるはずがないもの。

「……私は香津美(かつみ)さんと聖壱(せいいち)さんが本当の夫婦になったと聞いてとても羨ましかったんです。」

 私達が本当の夫婦に……それはもしかしてあの事件の後の事かしら?柚瑠木さんがそんな事を月菜さんに言ったのだとしたら、それは一体何のためになの?
 柚瑠木さんの考えていることが分からない……

「ですから……もう少し頑張ってみたいと思うんです。私が柚瑠木さんに出来る事はそれしかありませんから。」

 月菜さんは頬に残った涙をゴシゴシと拭うと、強い意志の宿る瞳で私を見つめてきたの。きっと彼女は自分の気持ちが変わらない事を私にはっきりと示しておきたかったのでしょうね。

「ふふふ、その調子でいいんじゃないかしら?あんな逃げ腰の夫なんて気合いでガシッと捕まえちゃって、月菜さんのその覚悟を見せてあげるといいんだわ。」

「それは、いくらなんでも強すぎませんか?柚瑠木さんに強い私は困ると言われてますし……」

 この調子なら大丈夫と思い、ちょっとだけ大胆な提案をしてみたんだけど。月菜さんにはまだハードルが高かったようで、戸惑っているみたいね。
 だけどね、そんな相手に遠慮してばかりじゃつまんないじゃない?

「どうせ柚瑠木さんも自分の気持ちを抑えられなくなりそうで困っているんでしょうよ。少しくらいは強引な方が彼にはいいでしょう。」


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