ずっと甘溺愛婚 ~それでも性悪お嬢様は俺様御曹司に溺愛される~
新婚生活は波乱万丈なの?
次の朝目覚めると、隣に聖壱さんの姿はなかった。深夜まで私の身体を好きなように弄んでいたというのに、一人で準備をして仕事に向かったのでしょうね。
あちこち痛む身体をそっと動かそうとするけれど、怠くてなかなかベッドから起き上がれない。
今日が休みでなければ仕事に支障が出たかもしれない。いいえ、聖壱さんの事だから今日は私が休みだと分かっていてわざと酷くしたのかもしれないわ。
私はスマホで時間を確認すると、諦めてもうひと眠りすることにした。後で月菜さんをお茶にでも誘って、あの冷徹男の文句でも聞いてもらおうと思いながら。
「ふぁああ……」
二度寝したことで身体もずいぶん楽になったので、ひとまずシャワーを浴びる。着替えて化粧をすればもう昼近い時間だったので、そのままお気に入りの和喫茶に向かう。
ここはヒルズビレッジのテナントの中でも女性に人気のお店、落ち着いた和の雰囲気に癒されながら美味しいお茶やお菓子を楽しめるお店なのよ。
奥の席に案内されると、スマホを取り出し月菜さん宛てにメッセージを打ち始めた。
『私ね、ショッピングモール内の和喫茶にいるの。今から会えないかしら?』
メッセージにすぐ既読がついたので、画面を開いたまま返事を待つ。月菜さんはきっと確認したらすぐに返事を送るでしょうから。
『すぐ行きます』
彼女らしい文章に思わず微笑んでしまう。月菜さんと会うたびに、あんな冷徹男にはもったいないくらい良い子だと思うのだけどね。
それでも彼女は柚瑠木さんの事が好きだから、きっと頑張るんでしょうけれど。
「すみません、遅くなってしまって……!」
わざわざ走って来たのか、月菜さんの額に少し汗が滲んでる。私も立ち上がろうとしたけど、腰がだるくてそのままの姿勢で微笑んで誤魔化した。
「いいのよ、来てくれてありがとう。」