ずっと甘溺愛婚 ~それでも性悪お嬢様は俺様御曹司に溺愛される~
「あの、どこか具合でも……?」
月菜さんはすぐにいつもと違う私に気付くと、顔を覗き込み心配そうに尋ねてくる。そういう事に疎そうな彼女には、あの後に何が起こったなんてきっと想像もつかないのでしょうね。
いくらあの冷徹男でも、こんな純情そうな子にそんな事を教えられるわけないでしょうし?
「大丈夫、少し疲れているだけなの。今日は仕事も休みだし、どうってことないわ。」
そう言って「ふうっ」っとため息をつく、そんな私の顔を見てなぜか頬を染める月菜さん。いったいどうしたのかしら?
「……それで、昨日は柚瑠木さんと無事に仲直りできたのかしら?月菜さんのその様子だと、聞かなくてもなんとなくわかるけれど。」
どう見ても昨日の夜より表情の明るい月菜さん。私は上半身を気持ち乗り出して、あの後何があったのかを問い詰める。
私は二人のために思って行動したのに、柚瑠木さんの余計な一言のせいであんな目にあったのよ?後であの冷徹男を揶揄えるくらいの話は聞いておきたいわ。
「あのっ、柚瑠木さんはあの後すぐに帰ってきたんです。そんな彼から離れようとした私に柚瑠木さんは「諦めないで」って、そう言ってくれたんです。私、その言葉が嬉しくて……」
思い出しながら私に話してくれる月菜さんは本当に幸せそうで。そんな彼女を見ているとこっちも癒されると同時に、自分だけ月菜さんと上手くいった柚瑠木さんに対して沸々と怒りが湧いてきてしまう。