ずっと甘溺愛婚 ~それでも性悪お嬢様は俺様御曹司に溺愛される~
新婚生活では助け合いを!
「そうだったの、あの後柚瑠木さんと月菜さんにそんな進展があったなんてねえ」
ソファーの前で先日の事を恥ずかしそうに話してくれる月菜さん、その様子に思わず口元がニヤつきそうになるけれど我慢我慢。
「俺はちょっと紅茶を用意してくる。2人はゆっくり話しているといい」
同じように聞き役に徹していた聖壱さんがソファーから立ち上がりキッチンへ。話に夢中になった私たちのために気を利かせてくれたのでしょう。普段は俺様のくせに、そういう優しい所大好きよ?
今日の柚瑠木さんは休日出勤らしく、月菜さんが家で一人で過ごすと聞いたので私たちの部屋に誘ったの。あの日の事を聞くには柚瑠木さんはいない方が都合が良かったしね。
でも、少し月菜さんの様子が気になるの。目の下に薄っすらと隈があるようにも見えるし……
「はい。柚瑠木さんは私が【特別】にして欲しいとお願いしたら、応えてくれて……」
そう嬉しい事があったというわりには、彼女の笑顔に陰りが見える。まだ月菜さんは何かを抱えているように感じるの。
「そんな良い事があったのに、どうして月菜さんはそんな不安そうな顔をしているの?顔色だって良くないし、隠しているつもりかもしれないけれどバレバレよ」
私がそう問い詰めると、月菜さんの大きな瞳からポロリと涙が零れ落ちてしまう。ああ、また私はキツイ言い方をしてしまったのかもしれないわ。優しく出来ない自分を叩きたい気持ちでいっぱいになっていると、月菜さんは顔を上げて縋るような瞳を私に向ける。
「わ、私が……本当に私が柚瑠木さんの特別だと思ってもいいのでしょうか?」
「それって、いったいどういう事?」
その言葉を聞いて、また柚瑠木さんが彼女に酷い言葉を言ったのかと疑いそうになる。こんな風にいつまでも月菜さんが不安を感じるのは、柚瑠木さんがしっかり自分の感情と向き合わないからじゃないの?
そんな私の様子を気にしながらも月菜さんは、一人ではもう抱えきれなかったのだと悩みを話し始めた。