ずっと甘溺愛婚 ~それでも性悪お嬢様は俺様御曹司に溺愛される~
聖壱さんにとって柚瑠木さんは大切な幼馴染、かけがえのない存在のはずだもの。きっと今まで彼も柚瑠木さんを助けようとしてきたはず。
けれど、聖壱さんでは柚瑠木さんの傷を癒すことが出来なかったのでしょう。だから彼の事を一番に想う月菜さんにこうして頼んでいるのだと思うの。
「私に、出来るでしょうか……?」
「月菜さんにしか出来ない。今一番柚瑠木の心の近くにいるのは月菜さんだから」
そうね、今柚瑠木さんの心を一番動かすことが出来るのは月菜さんに間違いない。そうでなければあの冷徹男が、あんな顔をして聖壱さんに相談しに来たりするもんですか。
「柚瑠木がいまだに月菜さんと契約結婚という形を壊せずにいるのは、アイツの自信の無さと大切な人に対する不安の表れなんだ」
「柚瑠木さんの不安……」
聖壱さんの言葉の意味は事情を知らない私には分からない、だけど月菜さんにはそれがちゃんと伝わっている気がするの。
それに彼女なら、柚瑠木さんの弱さや不安だって愛して受け入れるはずだもの。
「だから月菜さんが壊してやってくれないか?「自信が無い」とか「不安だ」とかそんなこと考えられなくなるくらい、柚瑠木を心から愛して……振り回してやって欲しい」
「私が柚瑠木さんを振り回すのですか?」
面白い事を言うのね聖壱さんは、私はその意見に大賛成よ!
いつも冷静な柚瑠木さんを思いきり振り回してしまうなんて、とんでもなく楽しそうじゃない?けれど月菜さんは信じられないという表情で聖壱さんを見ている。
でも聖壱さんはそんな月菜さんににっこりと笑って見せて……