ずっと甘溺愛婚 ~それでも性悪お嬢様は俺様御曹司に溺愛される~


「俺はさ、始まりは契約という酷い形だったけれど香津美(かつみ)に出会えて本当に良かったと思ってるんだ」

 そう言って聖壱(せいいち)さんが抱き寄せる腕に力を入れるから、私も大人しく彼の胸へ身体を寄せる。彼はこうやって何でも言葉にしてくれるから、私はいちいち不安にならずに済んでいる。
 
「ええ、私も同じ気持ちよ。出会えた相手が聖壱さんでなければ、きっと全く違う結婚生活になっていたでしょうね。考えたくもないけれど……」

 きっと最初の婚約者だった男性と夫婦になっても、こんな風に愛し愛される関係にはなれなかったと思う。彼の心のほとんどを占めていたのは、私の妹の存在だったから。
 それを認めたなくて、我が儘言って散々二人を引っ掻き回してしまった。

「誰の事考えてるんだ? また俺にヤキモチを妬かせる気なのか、香津美は」

 そう言われてブンブンと頭を振ってみせる。またお仕置き(あんな目に合わ)されては堪ったもんじゃない。今想っているのは聖壱さんだと何度伝えても、ちっとも許してくれないのだから。
 何とか話題を他の事に変えてしまわなければ……!

柚瑠木(ゆるぎ)さんには……月菜(つきな)さんしかいないと思うの。私達がそうであるように、あの二人じゃなきゃきっと上手くいかないわ」

「……ああ、俺もそう思う」

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