ずっと甘溺愛婚 ~それでも性悪お嬢様は俺様御曹司に溺愛される~
「……杏凛さんには聞いてみた?」
料理教室に行ったのならば、月菜さんは杏凛さんと話したはず。もしかしすると何か彼女ならば知っているかもしれない。
私は急いでスマホを取り出して杏凛さんに電話をかけてみるが、杏凛さんも電話に出ない。いったいどういう事なの?
その様子を見ていた聖壱さんは私からスマホを奪うと、どこかに電話を掛け始める。
「沖名か? ああ、大至急調べて欲しい事がある。鏡谷 匡介のプライベートの番号だ、今すぐ連絡を取りたい。そうだ、メッセージで送ってくれ」
聖壱さんの電話の相手は仕事のサポート役の沖名さんだった。
杏凛さんとも月菜さんとも連絡が取れない以上、杏凛さんの夫である匡介さんに頼るしかない。沖名さんからメッセージが送られてくると、聖壱さんは自分で匡介さんにかけず柚瑠木さんに番号を伝えた。
「お前が月菜さんに離れて欲しくないのなら、必死で探してみろよ。今更手放せないんだって、素直に認めて彼女を捕まえろ」
『……分かりました』
すぐに切られた電話に、私達は顔を見合わせた。柚瑠木さんは自分の中の想いを認めた、後はそれをお互い伝え合う事さえ出来れば……
だけどどこにいるのか分からない月菜さんの事が心配で、私達も二人で心当たりを探すことにした。