ずっと甘溺愛婚 ~それでも性悪お嬢様は俺様御曹司に溺愛される~
『もしもし……』
数コール後に聞こえてきた月菜さんの落ち着いた声、彼女の無事が分かってホッとしたと同時に胸がグッと熱くなった。
「もしもし、月菜さん。もう家に帰ったの? 柚瑠木さんが貴女の事を心配して電話をかけてきたきり、連絡が取れなくなってて!」
月菜さんと連絡が取れたことで興奮し、言葉が止まらない。彼女が今どこにいるのか、柚瑠木さんに会うことが出来たのかと気になる事ばかりで。
隣で聖壱さんも私たちの会話を心配そうに聞いていたけれど、すぐに彼のスマホの着信音が鳴った。きっと柚瑠木さんでしょうね。
『大丈夫です、柚瑠木さんが私の事を迎えに来てくれて。今二人できちんと話が出来たんです、心配かけてすみませんでした』
月菜さんはもう柚瑠木さんと一緒に居るそうで、一安心出来た。どうやら私達が月菜さんを探している間に、きちんと話し合うことが出来たらしい。月菜さんの声が心なしかスッキリして聞こえた。
「そう、話が出来たのね。じゃあ二人の時間を邪魔する訳にはいかないわ、またゆっくり会って話しましょうね」
月菜さんの無事を確認することが出来ればそれでいい、きっとこれから二人が向き合う大事な時間になるはず。月菜さん達の話は今度会う時の楽しみにしておきましょう。
『はい、今度話を聞いてください』
そう言って通話を切った月菜さん。今度は私が彼女の惚気話を聞く番になりそうね、そう思いながら聖壱さんを見る。きっと柚瑠木さんを揶揄っているだろうと思っていたのに、彼は凄く真面目な顔をしていて……
「……本当に行くのか? ああ、もう調べ終わっているからメッセージで送る」
調べ終わっている?いったい何のことを話しているのか私には分からなかった。
「柚瑠木、今のお前なら……真澄さんと会ってもきっと大丈夫だ」
その名前に聞き覚えはあった、月菜さんから相談を受けた時に出た名前だと。何か深い理由があるはずだと、それ以上私は聞かない事にしてコーヒーを淹れるためにキッチンへと向かった。