ずっと甘溺愛婚 ~それでも性悪お嬢様は俺様御曹司に溺愛される~


「近いうちに霧島(きりしま)さんが、柚瑠木(ゆるぎ)と連絡がつかないと泣きついてくるかもな」

「そうねえ、その可能性もなくはないかもしれないわ」

 霧島さんというのは柚瑠木さんの秘書を務めている女性で、私も何度か会ったことがある。癖のないショートカットの髪にパンツスーツが似合う背の高い美人で、スッキリしたその性格も私は結構好きだったりする。
 こっそり柚瑠木さんの弱みが聞き出せないかと、裏で彼女と仲良くなろうとしてるのは彼らには秘密だけど。

 可愛らしい新妻に夢中になっている柚瑠木さんに、しばらくの間は霧島さんが振り回されることになるのかと思うと少し可哀想な気もしてくる。
 でも月菜(つきな)さんもやっと想いが通じて柚瑠木さんとの関係を変えることが出来たのだから、しばらくは霧島さんにも頑張ってもらうしかなさそうね。

「今日の柚瑠木のあの顔を見たか? 今すぐにでも月菜さんを連れ帰って、二人きりになりたいって顔してただろう。きっと今連絡しても電源切ってるぞ、アイツは」

「ふふふ、聖壱(せいいち)さんも沖名(おきな)さんには散々迷惑かけたものね? 同じ立場だとその気持ちがよく分かるのかしら」

 柚瑠木さんの行動が手に取るようにわかると言いたげな聖壱さん、貴方だって人の事言えないでしょう? 彼のサポート役の沖名さんは私だけでなく柚瑠木さんにまで愚痴っていたらしい、よほど不満が溜まっていたのでしょうね。


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