ずっと甘溺愛婚 ~それでも性悪お嬢様は俺様御曹司に溺愛される~
「その、まだ決まったわけじゃないのよ? ただちょっと遅れているようだから念のために確認を、と思って」
ジッと私を見つめる真剣な表情の妹に、なんだか言い訳でもしているみたいな気分になりながら事情を話す。要するに私は一人で結果を知るのが怖くて、妹に傍についていてもらおうと実家に来てしまったのだ。
「……義兄さんはこの事を知っていらっしゃるのですか?」
「え、いいえ? もしそうでなかったらガッカリさせることになるかもしれないでしょう。だからここで一度検査してから伝えようと……」
さっき薬局で買ってきた検査薬をバックから取り出してなほに見せると、彼女はそれを取り上げ確認した後でまたバッグの中に入れてしまう。
「ちょっと、なほ?」
「今すぐ帰りましょう、レジデンスまで私が送っていきます」
普段大人しいなほがキッパリとそう言って、私をソファーから立ち上がらせる。驚いている私の手を握ると妹はさっさと玄関に向かって歩き出した。
「なほ? ちょっと待って、私はここで……」
「もしおめでたならば、その父と母は誰ですか? 一番にそれを知る権利があるのは姉さんと義兄さんのはず、私はそう思いますけど違いますか?」
真っ直ぐに私を見つめてそう話すなほの言葉は何一つ間違っていない。きっと聖壱さんだってその報告は一番に受けたいことくらい私だって分かっていたのに……
「なほ……」
「不安なら検査が終わるまで姉さんの傍にいます。ですが一番に知らせるのは義兄さんにしてください」