ずっと甘溺愛婚 ~それでも性悪お嬢様は俺様御曹司に溺愛される~
慣れない内診を終えて医師の前に座ると、超音波検査の画像を見せられる。と言っても、何が何だか私にはよく分からないのだけど。
「お父さん、お母さん。これが胎嚢、赤ちゃんを包む袋のことです。特に問題は見られませんので、二週間後に来ていただき赤ちゃんの心音を確認しましょう」
「は、はい」
私も聖壱さんも女性医師の言葉をドキドキしながら聞いて、診察室を後にした。今度は二人掛けのソファーに座って、貰ったエコー写真を2人で見つめる。
「ふふふ。お父さんですってよ、聖壱さん?」
「はは、香津美だってお母さんって言われてただろ?」
このお腹の中に宿っている小さな命、その事がこんなに嬉しくて幸せに感じることが出来る。それもこれも隣に居るのがこの人だからこそ。
「帰りに赤ん坊の服を買いに行くか?」
「気が早いわよ、まだお腹の子が男の子か女の子かも分からないのに」
でも私も本心は聖壱さんとそう変わらない、今すぐにでもベビーグッズを買い揃えたいくらいには。それでもこんな時は私が夫の暴走を止めなくてはいけない立場だから。
「性別が分かってのお楽しみにしなきゃね?」
「わざと産まれるまで秘密にしてもらってもいいかもな」
「それも悪くないわ」
ここに来た時の不安は消えて、今は二人で明るい未来を見ることが出来る。こうして私の傍に来てくれた聖壱さんに心から感謝していた。